【体験談寄稿】ニューヨーク科学アカデミー主催の高校生対象の教育プログラム『The Junior Academy』とは?!

【体験談寄稿】ニューヨーク科学アカデミー主催の高校生対象の教育プログラム『The Junior Academy』とは?!

実際に校外プログラムに参加した高校生に参加者体験談「パイセンに聞いてみた!」

今回はニューヨーク科学アカデミー主催の教育プログラム『The Junior Academy』についての紹介です。

「The Junior Academy class of 2017-18」でいらっしゃる樋口れみさんに記事をお願いしました。ではどうぞ!!

こんにちは!都内国立高校に通う樋口れみと申します。今回、私が紹介するのは The New York Academy of Sciencesが主催している「 The Junior Academy」 です。

TJAについて

まず、The Junior Academy(TJA) は世界の大きな問題を解決する優秀な学生のコミュニティとされる学生のためのSTEMプログラムです。STEM(Science, Technology, Engineering, and Math) などの分野における優秀な学生が、世界の最も大きな問題解決の解決者(solver)となりおよそ1年かけて学習します。学生はまず知識や考え方を学び、次に問題解決案を考案、そして最後に発表します。

 

Launch Pad デスクトップサイト

プログラムは全て英語で進められますので、Strong level of English(十分な英語の実力)が必要とされています。私は英語のネイティブではないので辞書を横にプログラムに参加しています。 The New York Academy of Sciences(NYAS) というのは1817年に創立した科学、教育を通じ て社会問題を解決することを目的とした非営利組織です。The Junior Academy 以外にも学生向けのプログラムを数多く開催しています。
私は ”The Junior Academy class of 2017-18” のメンバーです。

プログラムの流れ

応募

NYAS young member デジタルバッジ

まずプログラムに参加するには応募が必要です。このプログラムには世界中の全ての学生、13歳 から18歳までが応募できます。他の条件はインターネットを使える環境にあることだけです。6月頃から募集が始まったと思います。HPからメールアドレスを登録しておくと、募集が始まった際 にメールで知らせてくれます。応募には英語エッセイを5つくらい書きます。英語のテストやIQを 計るテストも受験します。また先生や保護者からの評価も送る必要があります。今年の合格率はおよそ10%だそうです。私は去年、一昨年と応募していますが合格は初めてです。ちなみに日本からの参加者も私が知っているだけで3人います。合格すると同時にNYASのYoung Memberに登録されます。

ブートキャンプ

次に Boot Camp(ブートキャンプ;研修) が行われます。Boot CampはTJAの公式プラットフォームであるLaunch Pad上で行われます。学生はLaunch Padに名前や住所(Tokyo, Japanなど)、STEM interests、趣味などを登録します。Boot Campでは1週間ごとに課題が出されます。 学生たちは毎週2時間以上TJAプログラムのための時間を確保することが推奨されています。 Boot Campの主な流れは以下の通りです。

– TRACK1 NEW JUNIOR ACADEMY MEMBERS (初めての参加者向け)
WEEK 1: GETTING STARTED (1週間め:スタート)
WEEK 2: RESEARCH METHODS (2週間目:研究方法)
WEEK 3: 21ST-CENTURY SKILLS (3週間目:21世紀型技能)
WEEK 4: DESIGN THINKING (4週間目:デザイン思考)

Boot Campでは研究方法やスピーチ、デザイン思考などを学べるほかExpert Talkと呼ばれるそれぞれの分野に卓越した教授や研究者の話をライブ配信で聞くことができます。ただ、時差の関係で日本から見ようとすると夜中だったり授業中だったりと時間が合いません、、。しかしこの Expert Talkは録画されているのでいつでも見ることができます。21世紀型技能とは創造性、協力、 コミュニケーション、リーダーシップなどで1週間かけて全6つの技能を学びます。Boot Campは 映像を見たり、資料を読んだりしてから簡単なテストのようなものを受けて進めて行きます。

Launch Padマイページ

この資料に載っている英語が専門的で難しく、英文自体が長いので少し大変でした。質問があるとき はLaunch Padの Discussion(議論)というページで質問をすると、学生やNYASのスタッフ、 が答えてくれます。また自分が質問に答えることもできます。他の学生の意見が聞きたいときもこ のページから聞くことができます。

チャレンジ

そしてChallenge(チャレンジ) が行われます。Challenge の流れは以下の通りです。

1 CHALLENGE LAUNCH (チャレンジ開始)
2 DEFINE A PROBLEM (問題を示す)
3 BUILD A PROTOTYPE (プロトタイプの作成)
4 PRESENT YOUR SOLUTION (解決策を提出)
5 SUMMIT (サミット)

今年の課題テーマは
– NUTRITION, AGRICULTURE, AND FOOD SYSTEMS (栄養物、農業および食糧システム) – PUBLIC HEALTH AND WELL-BEING(公衆衛生と健康)
– WATER, SANITATION, AND HYGIENE (水、公衆衛生、及び衛生学)
– SUSTAINABILITY AND CLIMATE CHANGE (持続性と気候変動)
– ENERGY (エネルギー)
– BIODIVERSITY (生物多様性)
– SPACE (宇宙)
– EDUCATION (教育)
– EQUITY (平等)
– EMERGING TECHNOLOGIES (新たな技術)
– ECONOMIC DEVELOPMENT AND ENTREPRENEURSHIP (経済的発展と起業家精神)
– SECURITY AND RESILIENCE (安全と抵抗) です。

この中から一つテーマを選択し最大6人のチームを作り、課題を発見し解決するというのが プログラムの流れです。
注目して欲しいのが5SUMMITです。このサミットはニューヨークのマンハッタンにあるNYASで行われます。サミットは2日間に渡り、ニューヨーク文化体験も含まれます。全ての学生が招待され、さらにここまでのプログラムの中でWINNERSに選ばれると航空券も貰うことができます。

以上がプログラムの流れです。

TJAについて

参加費は無料です。全てのコストがスポンサーの企業や財団によって賄われています。 世界50カ国以上から集まる優秀な学生と一緒に勉強することができます。私のグループには、アメリカ国籍、エルサルバドル国籍、インド国籍、中国国籍の学生がいます。学生のレベルが本当に高く、起業している学生や法人の代表、学術系オリンピックの優勝者など、国内だけでは知り合えない学生が多いです。新たな価値観に触れるSTEM学習です。FaceBook, Whatsapp, Telegram, Skypeなどで議論し、生の英語に触れるので英語の勉強にもなります。

NYASについて

NYASのメンバーは世界100カ国2万人を超えています。歴史上の人物として、アメリカ大統領ジェファーソンやモンロー、チャールズダーウィン、トーマスエジソン、アルバートアインシュタイン がいます。今日、アカデミー評議会には、28名のノーベル賞受賞者、CEO、慈善団体、国家科学資金提供機関のリーダーが含まれています。Young member になると、デジタルバッジが送られ、 18歳になるとアカデミックメンバーシップを受ける招待状が送られます。他にも資料を読むこと や教材をダウンロードすることができます。HPからメールアドレスを登録しておくとNYASが主催する他のプログラムやニュースが届きます。

Launch Pad について

TJAの公式プラットフォームであるLaunch Pad ですが、TJAメンバー以外の学生も使うことがで きます。学生はSOLVERとなって世界中のsolverと企業から出される課題に挑戦することができ ます。
HPはこちら

SNSについて

Launch Padだけでは物足りない議論やチームでのコンタクトをとる際、Facebook, Messenger, Whatsapp, Telegram, Skypeなどが使われます。それぞれでTJAグループが作られていて、何気ない会話なども行うため、寝ている間に1000件…ということもあります。新作iPhone発表などのときは特に盛り上がります。Android派とios派の議論がされていました。SNSだと略語やスラ ングが使われることが多いです。btw(by the way), idk(I don’t Know), wbu(what about you), lmao(laughing my ass off)など、、。

英語について

先ほどStrong level of Englishが必要であると書きましたがそれについて詳しく書きたいと思い ます。私がこのプログラムに合格したときに1番心配したのが英語でした。私は英検だと準1級レベルです。しかし、TJAのプログラムには今のところついていけています。もちろん辞書を使いながらですが、、。それに英語が母国語でない学生がほとんどです。スペイン語やフランス語、中 国語やスワヒリ語、私が今まで聞いたことのなかった言語もありました。私のチームメイトはス ペイン語が母国語で英語は第2言語だと言っていました。それに彼女は日本語を勉強中でした。 日本語を勉強している学生は思ったより多いです。話を戻して、英語についてですが、応募フォー ムやHPに書いてあることが分かれば、問題ないと思います。ただニューヨークで行われるサミッ トでは辞書をいちいち開くわけにはいかないと思うので勉強していくつもりです。Boot Campが 始まって間もないですが、英語に慣れてきました。Boot Campをこなしていけばそれなりの英語力がつくと思うので心配しなくても平気かなと思います。

TJAの魅力

Launch Padマイページ

このプログラムの魅力は世界中の10代の学生と議論を重ねることができ、本物のSTEM教育を体験できるところです。テーマは世界規模の問題の解決であり、日本の中では考えつかない方法や、初 めて触れる価値観など新しい考え方を知り、自分の考えを発信するので学校の勉強とは違った学 びを得ることができます。意見がまとまって書類が完成するとグループ全員で盛り上がり、達成感 を感じ、より仲良く遠慮なく議論できるので本当に楽しいです。より多くの日本の学生にTJAで参加、活躍して欲しいです。

この記事について

現在、TJAはBoot Camp Week 3 の途中です。このプログラムが終了してから記事を書くと、来年度の募集に間に合わなくなってしまうため、プログラムの途中ですが、全体概 要の記事を書かせていただきました。私自身もこのプログラムの流れが途中までしか理解できて いないため、3のチャレンジについては大まかな説明となってしまっています。このプログラムが 終了次第、改めてTJAについて詳しく、感想などを混ぜながら記事を掲載させていただく予定です。ご理解宜しくお願いします。

「The Junior Academy」 公式サイトはこちら

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