NPO団体 Dor til Dor

NPO団体 Dor til Dor

8月も残りわずか。皆さん、いかがお過ごしですか?私は、様々な校外活動を通して、自分の殻を1つ破ることが出来たように思います。久々に、今、わくわくしています。

さて、今回は NPO団体 Dor til Dor の代表理事を務めている谷津さんにご寄稿頂きました!谷津さんの文章を読み、改めて、読書がもたらしてくれる、新たな考え方や価値観は自己形成において不可欠であると実感しました。皆さんもこれを契機に本にある幾重もの扉を好奇心の赴くままに開きながら、まだ見ぬ世界を探しにいきませんか?

 

自己紹介

神戸出身の高校3年生の谷津 凜勇(たにつ りんゆう)です。東大寺学園に中高6年通い、学校内では生徒会長とか文化祭実行委員とか色々やってました。ASHOKAユースベンチャーに認定されたり、何度かメディアに取り上げられたりもしました。(詳しいプロフィールはこちら:https://lit.link/rinyut

今回は、僕が立ち上げて代表理事を務めているNPO団体Dor til Dor(http://dor-til-dor.org)の活動について紹介します。

NPO団体 Dor til Dorとは?

Dor til Dorとしての講演の様子

 

次の1冊に手をのばす喜びをすべての子どもに」を掲げて、自立した読者の育成を目指すNPO団体です。児童書紹介フリーペーパー「月あかり文庫」の発行を起点に、イベント開催・調査研究事業なども併せて読書教育を推進しています。メンバーは主に社会人で、学校司書や絵本雑誌の編集者、児童書の翻訳者など、10人程の仲間に助けられながら活動中です。

「Dor til Dor(ドア・チル・ドア)」というのは、デンマーク語で「ドアtoドア」という意味。本の表紙を開いた1ページ目を「」と呼ぶことから、「子どもたちがある本の扉を開き、それを読み終えて、次の本の扉を開くまでを支えたい」という想いを込めました。

設立までの経緯

「暇や~!」というのが全ての始まりでした笑 2年以上前、2020年の春にコロナ禍で臨時休校になったとき、とにかく時間を持て余して、「何か新しいことを始めたい」と思ったんです。その頃ちょうど、本棚の隅から『ツバメ号とアマゾン号』を引っ張り出して久しぶりに再読し、忘れていたその楽しさを思い出して、「本の虫」として趣味の延長でおすすめの絵本・児童書を紹介するフリーペーパーを創刊したんです。

初めは関西の数ヶ所の書店などに設置していたんですが、予想以上にどんどん広がっていき、次第に手が回らなくなっていきます。そこで、SNSで仲間を集め、2021年春に設立したのがDor til Dorです。設立後は、改めて書店員や学校司書、児童文学研究者などにヒアリングをし、子どもたちを取り巻く読書教育の問題点を探って、フリーペーパーを発展させる形で、幅広く読書教育を届けるNPO団体として再出発しました。

ちなみに、今ではフリーペーパー「月あかり文庫」は、公共図書館や書店、学校図書館、カフェなど全国約70ヶ所にて設置・配布しており、累計発行部数は1万5千部にのぼります(2022年8月現在)。

「月あかり文庫」の読者

活動の中で基盤となっている自身の思考軸は何ですか?

これまでに何度か見失ったりブレたりしてきましたが、今の軸は「自分本位」と「自己実現」です。

社会の要請や期待に応えようとすることももちろん大事ですが、それ以上に、「自分が心の底から本気でワクワクする活動ができているか」を常に確認しながら、「自分にしかできない何かを自分らしく成し遂げる」ことを目指して活動しています。結局自分が活動を楽しまなければ、周りには読書の楽しさが伝わらないと思うので……笑

谷津さんが掲げる、「読書教育」とは?

そもそも、読書教育の1つの目標は、自分から積極的・主体的に読書を楽しめる人である「自立した読者」を育てることです。そのために、今、学校現場では朝の一斉読書や読書感想文など様々な取り組みが行われています。しかし統計調査によれば、小中学校では本に親しんでいても、高校生になると本から離れてしまう人が多いんです。これでは、ただ強制的に本を読ませているだけで、「自立した読者」の育成には繋がっていないと言えるんです。

そこで僕たちDor til Dorでは、こうした学校教育の限界を補完しつつ、読書の楽しさを広げることで思わず読書に没頭してしまうような良い読書体験を届け、子どもたち1人1人が「自立した読者」になってほしいと考えています。

谷津さんにとって読書とは?

「憧れの自分」に出会える場、です。

本というのは、映画やゲームなどとは違って能動的に想像力を働かせて楽しむ媒体ですよね。物語の中で、新しい考え方や視点、価値観、メッセージなどに出会うと思いますが、それを受け取るかどうかは1人1人に委ねられている、というのが大きな特徴だと考えています。今の自分の世界観とは合わない考え方や価値観は想像しなくても、十分に物語の世界を楽しめるので、そうしたものに触れたとしても必ずしも受け取らなくても良いんです。

逆に、もし新しい視点や生き方などに共鳴したら、今の自分に合っているけれども、今の自分はまだ持っていない新しい「何か」を取り込むことができるんです。したがって、「現在の自分」の延長線上にいる「憧れの自分」に出会えるのではないでしょうか?

谷津さんが考える「読書教育」が浸透した先に待つ未来とは?

読書によって「憧れの自分」に出会えるとしたら、読書教育は1人1人の自己形成を支える力を秘めています。幼少期から本に浸ることで、自分の「憧れ」と出会い、それに向かって個性を育んでいけば、それぞれの自己実現が可能になるんです。その先に僕が見ているビジョンは、子どもたちが自分自身を起点に輝き、自ら未来を創造する社会です。平たく言えば、僕自身のように読書経験を糧に自分らしく生きる人が増える未来、という感じでしょうか。

読者の皆さんへ

校プロを見ている皆さんは、既に何か団体に入ったり、イベントに参加したりしているか、これから何かプログラムに応募したりしようとしている人だと思います。それぞれ、改めてやってきた活動を振り返って、また今からやろうとしている活動を見返して、「それって、自分は心の底から本気でワクワクしてる?」と己に問いかけてほしいです。

答えが「No」だったら、何か新しい活動を自分で立ち上げてみる、という選択肢を考えてみませんか? ここに「暇だから」という理由で立ち上げて、今まで活動し続けてきた人がいるくらいなので、きっと皆さんが本当に好きなこと・興味を持てることがあるなら、それについて自分が一番ワクワクできるアプローチは、自分で活動を立ち上げることだと思います。(もちろん、ワクワクの源を探すために様々なプログラムに参加してみる、というのは必要なことかもしれませんが)活動を始めてしまえば、例えトラブルが起こっても意外と何とかなるものです!笑

もちろん、相談や質問は大歓迎です。

いつでも気軽にTwitterFacebookInstagramで声をかけてくださいね!

 

 

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